マーケティングの基礎をわかりやすく解説している本。
あなたの買い物そのものがマーケティングであり、それは会議室で起きているのではなく、あなたの日常で起きているのだ。
本文より引用
表紙をめくると、すぐにこの文章が目に飛び込んでくる。
まさにこれ。
日常生活のいたるところにマーケティングがある。
目からウロコの本だった。
参考にして早速行動しよう。
内容
物語と解説が交互に書かれていてとても読みやすい。
物語の舞台は、売り上げ不振で潰れかかっているイタリアンレストラン「リストラント・イタリアーノ」
そのレストランの立て直しを任された、売多真子を主人公に話は進んでいく。
真子は、マーケティングもレストランの現場も知らないただの素人。
いとこの経営コンサルのアドバイスのもと、マーケティングの基礎を学びつつ立て直し企画を立てるという物語。
むずかい理論をシンプルに、わたしたちの日常生活に置き換えて解説していく。
知っておくべき4つの理論
- ベネフィット
- セグメンテーション
- 差別化
- 4P
ベネフィットは顧客にとっての価値である。
本のタイトルである「ドリルを売るには穴を売れ」ということ。
ドリルの買い手は、ドリルが欲しいのではない。
穴をあけるという目的、欲求を満たすためにドリルを買う。
時計だって、時計が欲しいのではなく、時間を知りたいから買う。
時計といっても、ただ単に時間を知りたいのか、ブランドものの時計のように、ステイタスが欲しいのかなど、顧客が何に「価値」を求めているのかを知る。
顧客は単純に物が欲しいのではなく、欲求をみたすために買い物をしているのだ。
自社は、どういうポジションでいくのかを、明確にしなければならない。
顧客にとっての「価値」を高めて、支払うものより「価値」のほうが高い状態。
価値の不均衡をおこさせないと顧客は満足しない。
セグメンテーションは顧客をわけること
ターゲットをしぼって商品・サービスを考える。
わけかたとして代表的にものとしては、
「人口統計的なセグメンテーション」
性・年齢・居住地・子供の有無などでわける方法。
20代、独身のOLなど。
「心理的によるセグメンテーション」
心理や行動、ランフスタイルの違いなどをベースにしてわける方法。
新しいもき好きで、機能を重視するなど。
理想的なセグメンテーションはこの2つをつなげて活用すること。
性別・年齢がライフスタイルを決めている側面が強いからである。
どこに分類されている顧客が、自社の商品に価値を感じてくれるのかを、見極めることが重要になってくる。
広く浅くより、狭く深くのほうが価値を感じていただきやすい。
差別化
とうぜん市場にはライバルがいる。
ライバルの商品ではなく、自社の商品を選んでいただかなくてはならない。
ライバルとの違いを、ハッキリと打ち出して、ライバルより高い価値を顧客に提供する事が差別である。
3つの差別かの軸がある。
「手軽軸」
手軽さで差別化する。安くて早くて、便利という軸。
食事でいえば、ファストフード店など「早くて安くてそこそこうまい」という価値を満たしている。
「商品軸」
よい商品・サービスて差別化する。とにかく良いものが欲しいという軸。
食事でいえは、高級フレンチなど「サービス・商品などすべてにおいて高級でうまい」安くないが、ゴージャスで高品質を求めるという価値を満たしている。
「密着軸」
顧客に密着して差別化する。顧客を個別対応するという軸。
食事でいえば、「自分好みのを知ってくれている店」最高級ではないが、自分の好みを知ってくれて安心感を求めるなどの欲求を満たしている。
どの軸を採用するかによって経営の方向性、方針が変わるので慎重に選ぶ必要がある。
ただ気をつけなくてはならないのは、どこかの軸を採用しても他の軸をまったく無視してはならない。
どんなに早くて安くても(手軽軸)、不味い(商品軸)ラーメンには顧客はいかない。
どんなに美味しくても(商品軸)、態度がひどい(密着軸)店には顧客はいかない。
すべての軸で平均点以上の価値を提供したうえで、どれかの軸で特化していかなければならない。
自社の強みを生かして差別化軸を決めると、おのずと狙うべきターゲットが決まってくる。
4P(フォーピー)
- Product 製品・サービス
- Promotion 広告・販促
- Place 流通・チャネル
- Price 価格
この4つ「P」をとって4P。
どんな製品・サービス(価値)を買うのか、それをどこで知ったのか、どこで買ったのか、そして価格は。
この日常的にわたし達が買い手として、当たり前にやっている事が4Pである。
「どのターゲットに、どの差別化軸で、どんな価値を届けたいのか」
広告のしかた、販売する場所、価格など、差別化軸・ターゲットで変化してくる。
まとめ
マーケティングで重要なのは「一貫性」
4Pでの一貫性、そして差別化軸との「一貫性」
なるほど、デザインが美しいmacが、コンビニでビニール詰めで売られていてもあんまり欲しくないかも。
マーケティングというのは、シンプルなものである事を学んだ。
自分がどのように商品・サービスを買っているのかを考えてみればいい。
わたしは、席数50ほどの小さなろばた焼き屋を経営している。
うちの店はどうなんだろう。
お客様にどんな価値を伝えられているのだろうか。
価格は適正なのだろうか。
サービスはどうなんだろんか。
ちぐはぐな販売戦略をとっていないか。
自分の店だと、なかなか客観的にみれなくなってしまう。
ましてや、毎日現場にいる社員は日常になってしまい、もっとわからなくなってしまうだろう。
うちの強みは、
理屈でなく自然と「密着軸」ができる社員。
経験豊富で「商品軸」ができる調理師。
優秀な社員達が強みである。
この強みを最大限に生かしていかなくては。
早速、本に書いてあったお客様アンケートを実施してみよう。
「他店ではなくて、なぜ海賊にいらしていただけるのですか?」
という質問をいれて。