以前にファイブフィンガーズシューズを履いた時。
つま先着地がいいらしいと中途半端な情報だけで、きちんと習いもしないで変な走り方をして足を壊したことがある。
その経験から、42.195kmの科学ーマラソン「つま先着地」vs 「かかと着地」というタイトルに惹かれて読んでみました。
トップランナーを徹底解剖
「皇帝」と呼ばれたゲブレシラシエの体を徹底的に測定しようという試み。
運動生理学=最大酸素摂取量や乳酸性作業閾値
血液学=血液の性質や特徴
心臓MRI=心臓の大きさなど
バイオメカニクス=フォームや着地のしたか
形態と身体組織=足の形態など
神経・筋機能=走行中の筋肉と腱の使いかた
これだけの項目を計測してした結果。
心臓が一般人よりかなり大きくてよく伸びる。
そのおかげで最大酸素摂取量が多くなる。
血液中のヘモグロビン濃度が高く、赤血球が小さいので血液サラサラである。
などランナーとして理想的な体であったのが計測で実証された。
実証されたのはいいけど気になるのは、なぜそんな体になれたかという事。
結論しては、高度2500mの高地で育って、高地で鍛えた事と結論ずけていた。
ここで面白いのが高地トレーニングの効果が科学的に全部解明されていないという点。
ヘモグロビン濃度が上がることで最大酸素摂取量が多くなるという事はわかっている。
「高地トレーニングをする最適な標高は?」
「どのくらい期間高地トレーニングすれば効果がでるのか?」
「どのくらいの期間高地効果があるのか?」
などはまだまだ科学的に解明されていなとの事。
しかも、高地の効果は長続きしない。
高地で生まれそだったケニア人アスリートが2〜3週間のヨーロッパ滞在で高地による効果がなくなった。
しかし高地効果がなくなっても、ヨーロッパ滞在中に参戦したレースでは好成績を残した、という研究結果もあるそうだ。
へー、わけわからん。
省エネ走法
マラソンで主に使われるエネルギー源は糖。
この糖が分解される過程で乳酸が生まれる。
この乳酸が一定量(4ミリモル)を超えると筋肉が収縮しづらくなる。これが「疲労で足が動かなくなる」状態になる。
乳酸が溜まり始める地点を「乳酸性作業閾値」また血中の乳酸の濃度が4ミリモルに達する地点を「血中乳酸蓄積開始点」という。
乱暴にいえば乳酸が過剰に溜まらなければ疲れないということになる。
この章で取り上げられている選手は、ゲブレシラシエをやぶり世界記録(当時)を更新したマカウという選手。
マカウの乳酸濃度を世界記録ペースで走ってもらい、計測したところ3.2ミリモルにしか上がっていないという計測結果が出た。
理論的には42km走っても疲れていないという事になる。
何故にそんな事が出来るのかという疑問が当然出てくる。
ここで「つま先着地」がでてくる。
東アフリカ勢は圧倒的につま先着地が多い。
この本では、アフリカの貧困な家庭環境の為子供の頃から裸足での生活習慣で「つま先着地」が身についたのではないかと推測している。
マカウのフォームを解析すると着地した時に衝撃がこないような走り方をしている。
着地の時に衝撃がこないようにそっと足を地面に着けているから、省エネで疲れないのでは推測している。
なぜアフリカの選手が強いのか
「高地に住んでいるから」
「貧困で靴が買えずに素足で走る生活する生活習慣だから」
「先天的に走るのに有利な筋肉を持っているから」
など色々と推測してきたが一番は
「トップランナーになって貧困から脱出したい」
というハングリー精神なんでないかとも推測している。
平均的なケニヤ人の年収が役8万円。
トップランナーになれば、約4千万円の年収が稼げるそうだ。
500倍!
そりゃ頑張るよな。
家族、親戚一同養っていける。
「いい走りをするためには、心理面がとても重要となります。しかし、心理面を良い状態に保つためには、当然、体の調子がよくなければなりません。これらは両輪なのです。ですから、レース前、体に問題がある場合には、本番で100%の調子を出すことが出来ないのです。マラソンは全てがパーフェクトでないと勝てません。つねに上位を維持するのが難しい競技なのです」
本書よりマカウのインタビュー
やはり最後は強い気持ちが必要だってこと。
最後に
日本人がマラソンで勝てなくなった。
ハングリー精神がないからという人もいる。
しかし、一番の問題は時代の変化について行ってないということ。
従来の走り込み重視の練習から、世界はスピード重視の練習に変わっている。
日本の実業団だけがいまだに走り込み重視の練習をしている。
「ガラパゴス化」
同じやり方をしていては結果は同じ。
これはビジネスでも一緒。
一番のライバルは「時代」
変化を恐れず挑戦していかなくてはと、ランニングの本読んで仕事の気づきを貰いました。
2013年の本だから、いまはどうなっているかはわからないが、日本人が勝つのを是非見たいの。
最後までお付き合いありがとうございます。